ガーナで医療プログラムに参加中の日本人ボランティアと病院のスタッフたち

意外な事実?!海外ボランティアが女性に人気の6の理由

スタッフ | 2024年 4月 29日
更新 2024年 4月 30日

海外ボランティア参加者は、日本のみならず世界的にも7割が女性。

なぜそれほどまでに海外ボランティアが女性に人気なのでしょうか。

言われてみれば、海外ボランティアに限らず、外語大学は圧倒的に女性に人気、海外留学を目指すのも女性が多い印象です。

そこにある背景も含め、今回は海外ボランティアが女性に人気の理由を分析しました!

理由①:発展途上国の情報量が増えたから

海外ボランティアが女性に人気の理由の1つ目は、以前より発展途上国の情報量が格段に増えたことです。

かつては、発展途上国への渡航は危険が伴うというイメージが先行していました。

しかし、現在はSNSなどの急速な普及により、実際に渡航した方の経験や注意点など、具体的な情報を入手しやすくなりました。

現地の情報収集がしやすくなった分、海外ボランティアのハードルが下がり、女性参加者の増加につながっていると考えられます。

理由②:キャリアの選択に慎重だから

海外ボランティアが女性に人気の理由の2つ目は、女性はキャリア選択に慎重な方が多いことが挙げられます。

高校生や大学生の海外ボランティアの体験談に寄せられている海外ボランティアに参加した理由の多くは、○○のキャリアが自分に本当に合っているか確かめたかったというもの。

その傾向は、特に医療の海外インターンシップによく見られます。

女性の疾患を扱う医師か助産師になるかを迷っており、進むべき医療分野を決めたい。

漠然とした「医療従事者になりたい」という夢から一歩踏み込んで専門分野を絞りたい。

将来、本当に発展途上国で活躍する国際的な医師としてやっていけるのか確かめたい。

国境なき医師団に入る前の実習をしたい。

などなど、将来の方向性を定めるためにアクションを起こしている様子が伺えます。

そんな時、海外ボランティアを通して現場を知り、日本ではできない「疑似体験」をすることによって、その職業が本当に自分に向いているのか、その環境でやっていけるのかを確かめ、決断への自信としているようです。

タンザニアで医療アウトリーチ活動に貢献する日本人ボランティア

理由③:海外志向が強いから

海外ボランティアが女性に人気の理由の3つ目は、日本人女性は海外志向が強い傾向にあるからです。

残念ながら、日本は女性が働きやすい環境が整っているかといえば、あまり胸を張ってそうだとは断言できないかもしれません。

多くの家庭で家事や子育ての大半は女性が担っている、男女間に給与格差がある、育休を取得しづらい、出産後の復職が難しい、寿退社の風習が未だにある、などなど女性が理想のキャリア形成を行うには、まだまだ改善が必要。

日本はさまざまな面ですばらしい国ですが、日本ならではの生き苦しさもあります。

特に文化的・社会的プレッシャーや同調圧力は生き苦しいもの。

そんな中、一人を独立した個と認め、日本より男女平等が進んでいて、有給もたくさんとれて、福利厚生が確立していて、女性がキラキラ・のびのび自信をもって生きている海外に憧れるは当然なのかもしれません。

肌の色、文化、言語、生活習慣など、ざっくり言って「単一」国家である日本に住んでいたら、多様性に富む海外は魅力的に映るもの。

それが、特に若い女性の海外進出を後押ししていると考えられます。

理由④:結婚・出産によるライフステージの拘束があるから

海外ボランティアが女性に人気の理由の4つ目は、女性は結婚・出産を経てライフステージの拘束があるからです。

特に、30代以降の女性にはそれが顕著に表れてきます。

というのも、実は10歳~29歳までの女性の出国者数が男性を大きく上回るというデータが出ているんです。

20~24歳の世代では女性の出国者数が男性の2倍程度、25歳~29歳の世代でも女性の出国者数が男性の1.5倍程度*になっています。

ところが、30歳から男女比が逆転し始め、40代では男性の出国者数が女性の1.6倍程度*になるほどの開きが出ています。

結婚はともかく、出産や育児などにいわゆる「適齢期」があるのは、女性の身体能力的に否定できない事実。

これを考慮して10代~20代のうちに「今のうちにやれることはやっておこう」という意識が芽生え、この時間的制約が若い女性の積極的な海外進出を促していると考えられます。

海外では、晩婚も30代後半の出産もあまり珍しくない中、日本ではこのライフステージの「通説」が良くも悪くもある程度はっきりしていて、いつまでに何をすべきかの逆算がしやすいのかもしれません。

30代以降の女性の出国者数の極端な減少を見ると、日本社会が作り出している構図が如実に反映されていると疑わざるを得ません。

特にアフリカで海外ボランティアなど、日本から遥か遠い見知らぬ発展途上国での海外ボランティアとなると、治安や衛生面、文化上の違いなどのさまざまな不安が出てきそうですが、逆にこの「今しかない」という時間的制約が、男性よりも積極的で大胆な行動に推し進めているのかもしれません。

逆に、男性は出産を経験しませんし、学生時代が終わるとキャリア構築における連続性や安定性を重視する傾向があることから、「海外ボランティア」によってキャリアにブランクを作りたくないという心理が働いていることも十分考えられます。

*参考:法務省出入国管理庁 - 2022年出入国管理統計 出入(帰)国者数

カンボジアでチャイルドケアボランティア中の日本人ボランティア

理由⑤:女性が活躍できる場が多いから

海外ボランティアが女性に人気の理由の5つ目は、海外ボランティア活動には女性が活躍できる場が多いからです。

参加者が多いチャイルドケアの海外ボランティア看護の海外インターンシップをはじめとした医療系の活動に関心を示す多くは、現役の幼稚園や保育園の教諭、看護師、助産師、介護士たち。

または、その職業に就くことを目指す学生たち。

日本国内では、実際にこれらの職業に就いている大半が女性という事実があります。

日本国内において、医師の約8割が男性*と言われていますが、看護師の9割以上**、同じく幼稚園や保育園の教諭も9.5割以上***が女性とのこと。

また、一般的に女性は共感力が高く、奉仕・慈悲の精神をもっている方が多いです。

社会的な問題に対する強い責任感を感じ、変化をもたらすために行動を起こしたいのが女性。

マザーテレサやナイチンゲールをはじめとした国際協力の礎となった多くの女性が、慈悲と奉仕の心で社会奉仕に貢献する大切さや尊さを伝え、現在も多くの女性のインスピレーションとなっているのはご存じのことでしょう。

加えて、近年、国境なき医師団や国際NGO、国際機関で活躍する女性がクローズアップされることで、貧しい人々や社会的弱者に寄り添い、貢献することに使命感を燃やす女性が多く誕生していることも、海外ボランティアの参加者に女性が多い一つの要因と考えれらます。

一方、男性は専門性や技術を要する活動に引き寄せられる傾向があり、これが伝統的なボランティア活動よりも専門的なプロジェクトや技術志向の活動に関心を持つ原因となる場合があります。

競争が激しく個人主義的な文化の中で育った男性は、協力的で共同体志向のボランティア活動に参加することを躊躇してしまうのかも。

加えて、男性は自己犠牲を美徳として高く評価することが少なく、ボランティア活動に求められる奉仕の精神に魅力を感じないのかもしれません。

結局、男性のボランティア活動参加者が少ないため、男性の参加を掻き立てるロールモデルや先駆者が不足する悪循環に陥っているのです。

*参考:厚生労働省 - 女性医師の年次推移

**参考:内閣男女共同企画局 - 独立行政法人等女性参画状況調査の結果について

***参考:厚生労働省 - 保育士の現状と主な取組

理由⑥:日本人女性の特長は海外でも通用するから

海外ボランティアが女性に人気の理由の6つ目は、日本人女性は一般的に適応能力が高く、逆境に強い方が多いからです。

発展途上国の海外ボランティア中のトラブル失敗談はよくあること。

しかし、窮地に立たされた時、意外と度胸が据わっているのが日本人女性。

慎重な分、「自分の面倒は自分でみる」ことに慣れているといったところでしょうか。

加えて、個人差はあると思いますが、事実日本人の女性ボランティアは、気が利く、親切、謙虚でまじめと、どの海外ボランティア活動国からも愛されています。

特に看護や助産師の海外インターンシップなどの医療系の活動に参加した日本人女性は、気を利かしてテキパキ動いてくれると、派遣先での評判が非常に高いです。

ここでも、日本人女性参加者の柔軟性や適応能力の高さが伺えます。

日本人女性ならではの特長は、海外で強みとして効いているのかもしれません。

ケニアで医療アウトリーチ活動中の日本人ボランティア

おわりに

今回は、なぜ海外ボランティアが女性に人気なのか、その6の理由をご紹介しました。

これから海外ボランティアへの参加を検討している女性の方は、あわせて女性におすすめの海外ボランティアベスト5も必見です。

現状、海外ボランティアは女性に人気ですが、将来的には男女問わず誰でも、何歳でも、いつでも参加できるほど国際協力を身近に感じ、それが実現できる社会構造になることを願うばかりです。

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