私はこの夏、南アフリカの都市であるケープタウンでジャーナリズムのプログラムに参加し、4週間活動を行いました。

大学の先輩が昨夏、プロジェクトアブロードを通して南アフリカでインターンをしてきたという話を聞いたことがきっかけで、活動することを決めました。

南アフリカという国は私にとって初めて訪れるアフリカ大陸の国でした。

アフリカと聞くと、紛争や貧困、サバンナなどのイメージがあると思いますが、実際に人々はどのような生活を送っていて、そのような社会問題にどの程度直面しているのか、ということを現地で感じてみたいと以前から思っていました。

ジャーナリズムの活動を選択したのは、現地での取材を通してより深く社会を観察でき、その中から学べることが多いのではないかと感じたからです。

また、今まで、海外でボランティアやワークキャンプに参加する中で、人々がなかなか体験できない世界の様子や、日常生活では出会わないような人や出来事について、多くの人に伝えるということに魅力を感じていました。

そこで、ジャーナリズムは私の大学での専攻ではありませんが、このインターンを通して、より実践的にジャーナリズムとはどのような仕事であるのか知り、将来どのようなことをしたいのかを見極めたいと考え、参加することにしました。

海外で生活を送ったことはあるものの、英語で記事を書くことに不安を感じていた私にとって、プロジェクトアブロードの支社があり、手厚いサポートを受けられると聞いたケープタウンは、私の望む場所そのものでした。

ケープタウンでは、プロジェクトアブロードが運営するCape Chameleonという現地の雑誌の記者として働いていました。この雑誌は老若男女を対象とし、誰でも気軽に手にとって読めるフリーペーパーです。

ここで働くボランティアは世界各国から集まった私と同じような大学生が多く、それぞれが様々な視点から記事を書いていました。

雑誌以外にも、ホームページにおけるブログや、公式facebookへの投稿も行い、ケープタウンの様子を発信していました。

なるべく外に出て、現地の様子を感じ、記事を書くことが大切だというアドバイスをコーディネーターから受け、街にある議会や博物館に出かけて、奴隷や黒人差別などの知識を深めたり、自分でアポをとってインタビューに出掛けることが多かったです。

私は、滞在期間中に3つの記事を書きましたが、どれもオフィスの外で現地の人と触れ合わなければ書けなかった記事でした。

特に力を入れて書いたのは、南アフリカでの家族の関係性についての記事です。

もともと家族とコミュニティの関係性について興味あったので、ケープタウンでも現地の事情を調べ書いてみたいと思い、数ある団体の中からいくつか選び、連絡を取りました。

最後までなかなかアポが取れず苦労しましたが、最終的に家族や子どもたちを支援するNPOで働く人たちにインタビューし、記事を完成させることが出来ました。

記事を書くに当たり、南アフリカの抱える問題に最前線で向き合う人たちと話をしたことで、普段の生活ではなかなか知ることのできない現実を知れたと同時に、自分がこれからどのような道を歩んでいきたいのかということを考えるようになりました。

プロジェクト以外の時間は、ホストファミリーや同じホームステイ先の友人たちと一緒に過ごしました。

親しみやすいホストファザー、料理が得意なホストマザー、優しく向かい入れてくれた無邪気な少年たちと、10人を超える世界中からきたボランティアの友人たち。

週末や夜に出かけたり、夕ご飯をみんなでテーブルを囲んで食べたりと、短い時間でしたが、たくさんの人と触れ合うことができました。

特に仲良くなったフランスから来た2人の同い年の子とは、一緒に喜望峰や、Robin Island、Table Mountain、Safari Tourなどに行き、南アフリカの自然や文化を満喫しました。

毎日電車で通ったオフィスまでの道のりやお昼休みに、様々なことを語り合った思い出が、今でも蘇ります。

また、ネルソンマンデラの日にはプロジェクトアブロードを通して、タウンシップと呼ばれる貧困地域に行き、ボランティア活動を行いました。

これはマンデラが投獄されていた67年間にちなみ、67分間のボランティアをすることが推奨されている、という南アフリカの文化的背景によって毎年行われているものです。

その日、私はボランティアとして、保育園で子どもたちと一緒に楽しい時間を過ごしたのですが、そのタウンシップの様子がとても衝撃的でした。

人々が住む、家とも呼べないような掘立小屋が小さい区域にひしめきあい、ごみも保育園の隣の野原に無残に捨ててありました。匂いも臭く、公衆衛生が整っていないということが一目瞭然でした。

タウンシップは危険地域であるため、その後私はタウンシップに足を踏み入れることはなかったのですが、帰国直前になり、どうしてもこの南アフリカの貧困の様子を自分の目で見て確かめ、感じたいと思った私は、専属のタクシードライバーに頼み、もう一度タウンシップに連れて行ってもらうことにしました。

プロジェクトアブロードのケアや建設のプロジェクトは基本的にタウンシップで行われているため、それらの活動が行われているところを案内してもらったり、彼らの生活の様子をドライバーに説明してもらったりするなど、短い時間でしたが、とても有意義な時間となりました。人々の貧困に向き合うことの重要性をとても感じ、今でも彼らの暮らしぶりは忘れることのできない光景です。

今回の滞在を通して、多くの南アフリカの文化的側面を見ることができ、現地の人も含めたくさんの人と出会うことができました。

将来を考える上でもジャーナリズムの活動を通して、一つ実践的な学びが出来たと同時に、日本での日常生活から離れ、たくさんの人と話す中で、自分を見つめ直すきっかけとなりました。

活動するオフィスにも、ホームステイ先にも日本人がおらず、毎日の会話が英語を始め他言語だったということもこれまでにない貴重な体験だったと感じます。

インターネットもオフィスだけでしか通じないという環境に置かれたことで、本を読んだり、日記を書いたり、友人たちやホストファミリーとの時間を大切にしたりと、充実した時間を過ごすことができました。

日本帰国してから1カ月後に1年間イギリスでの留学が待っていたため、参加するかどうか迷いもありましたが、ここでの経験は、自分の視野を広げる、忘れられない時間となりました。

ケープタウンで出会った人に一人ひとりに感謝の気持ちでいっぱいです。

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 南アフリカ共和国でジャーナリズム 伴和砂

この体験談は、主観に基づいて綴られています。

その時の現地の需要や活動の進捗状況、参加時期、参加期間、天候などによって得られる経験が異なりますので、あらかじめご了承ください。

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