自分の力を試す留学を

僕は2018年の夏、トビタテ留学ジャパンの支援を受けて、カンボジアに2週間のボランティア留学をした。

学校に通う子供たちと触れ合う・よりよい生活をしてもらうための活動をするといったボランティアに関するプログラムだ。

以前からボランティア活動に興味があり、小学校一年生から現在まで入団している消防少年団や高校での生徒会活動、青少年赤十字国際交流など幅広い分野での活動を通して、人を喜ばせることで得る達成感を感じる度に、また次のステップへチャレンジしたいという気持ちが高まった。

高校二年生になり、今までの身近なところでのチャレンジではなく、周りの助けを借りずに一人で自分の力を試す良い機会だと思い留学を決意した。

プロジェクトアブロードとの出会い

「ボランティア 留学エージェント」と検索すると、Project abroadが最初に出てきた。

この留学機関は、僕が通っている高校の先輩も利用しており、トビタテ留学ジャパンの先輩からも勧められていたので、僕も利用することにした。

2週間の活動を通して、留学して本当に良かったと心の底から思っている。

カンボジアの「ごみ問題」

僕の留学先はカンボジア。

「カンボジア」と聞くと、多くの人が第一に「ごみ問題」を想像するのではないだろうか。

発展途上国の一つであるカンボジアは、急激な経済発展の結果、大量のゴミが排出され深刻な問題になっているという話を以前から知っていたが、この「ごみ問題」は私たちが想像しているものを遥かに上回っていたのだ。

首都のプノンペンにある空港を出ると、私は鼻をつまんでいた。

それと同時に、辺り一面に散乱する「ごみ」が目に飛び込んできた。

「どうして彼らはこの環境の中で生活できるのか。この状況をどう思っているのか。」不思議で仕方なかった。

Project abroadの現地インストラクターさんに話を聞くと、「どこへ行っても同じだから慣れてしまった」という答えが返ってきたので驚いた。

さらに街を歩くと、行き交う人たちが何事もなかったような平気な顔でごみをポイ捨てしている。

訪れた複数の学校に通う子供たちも、食べ終わったお菓子のゴミを校庭に捨てており、校庭一面ゴミだらけだった。

決まった曜日にゴミ収集車がごみを回収してくれる・ゴミ箱が街中にたくさん設置されているというゴミ制度が確立した日本に住む僕には、この状況を見過ごすことが出来なかった。

言語の壁は分厚かった

ここで、先にカンボジア滞在中の言語について話したいと思う。

英語が普通に話せるようになってからではないと、かなり大変な留学になると断言できる。

世界には数千という言語が存在しており、それぞれが固有の文明・文化を形成してきた。

しかし、英語が日常会話程度しか話せない僕は、何度も「世界に言語が一つしか存在しなかったら、より良い留学生活が送れたのに」と思わされた。

これには2つの出来事が関係している。

1つ目は、カンボジアの子供たちの言語力についてだ。

日本のProject Abroadのインストラクターさんは「カンボジアの子供たちは英語を理解できる」と話していたので、トビタテ留学ジャパンの派遣生としての活動を英語で準備し留学に臨んでいた。

しかし、カンボジアの子供たちには英語が全く通じなかった。

ましてや日本で買ったカンボジア語の「指差し帳」を見せても通じない。

これには大変苦労した。

身振り・手振りのジェスチャーでの会話が僕の最善の策であった。

2つ目は、同じプログラムのメンバーについてだ。

おそらく30人くらいいたと思うが、その7割はフランス・イギリスといった欧州人だった。

彼らは母国語で会話しているので、何を話しているのか全く分からなかった。

ネイティブ英語を話すため、僕には正確に理解することが出来なかった。

幸い、同じプログラムに海外在住経験のある日本人と仲良くなったこともあり、特に辛いことはなかったが、言語の壁を感じながら留学生活を送っていた日本人もいた。

言語の大切さに改めて気づかされ、今の勉強のやり方ではダメだと思った。

私は最初、留学先で言葉の壁にぶつかりくじけそうになったが、自分が日本の代表であるという責任と自信を胸に自分からチャレンジし、最高の留学生活を送ることができた。

僕が帰国した2週間後に始まった同じプログラムには、日本人がたくさんいたと聞いている。

もし同じ時期のプログラムに日本人がたくさんいたら、これらのことには気づけなかっただろう。

臨機応変に方向転換してみたが

留学の目的の一つに「いざというときにために普段から正しいロープの結び方を教えたい」というものがあったが、現地の子供たちには全く英語が通じず実施が出来なかった。

そこで、行ってみて分かったカンボジアの「ごみ問題」に焦点をおいて活動を行った。

カンボジアをより良い国にしていくために一番深く関わっているのはこれだと、僕は考えたからだ。

と言っても、カンボジアの子供たちには言語が通じない。

試行錯誤を繰り返し、流行りの歌に合わせての指導・リレー形式でゴミを拾いに行くなど、ジェスチャーでできる限り分かりやすく説明した。

子供たちは理解してくれているだろうか。

覚えてくれているだろうか。

「言葉の壁」にぶつかり、心配と悔しさでいっぱいだった。

和紙を使った「ちぎり絵」の効果

日本の良さを広めるためのアンバサダー活動として、ユネスコ世界無形文化遺産にも登録された日本の伝統工芸品、和紙を使った「ちぎり絵」を子供たちと一緒に作った。

日本の和紙は、世界中の文化財の修復にも利用されており、強度優れた保存性が注目されている。

「ちぎる」作業のもつ淡々とした一定の心地よいリズムが心の安定をもたらし、指先を使う作業や遊びが知育に効果的とわれているため、子供たちと一緒に行う活動に最適だと思い、今回の留学に取り入れた。

1つしか作品を作る準備をしていなかったが、実施した学校の生徒・先生方に評判がよく、たくさん作ることになった。

「長い間飾っておきたい」ということで、ラミネートし、現在は教室の黒板の横に飾ってあるそうだ。

自分の考えてきたアイデアを元に楽しそうに作成する子供たちを見て、発展途上国を生きる子供たちの成長に少しでも携われることが出来ていたら嬉しいと思った。

この経験を基盤に社会貢献を

近い将来、さらに日本には外国人が増えると思うので、この留学で学んだコミュニケーション能力を生かし、誰とでも対等に接することができる基盤としたい。

私は将来「誰かの笑顔ために働く」仕事に就きたいと考えている。

そのひとつに、悩みや問題を抱えた人の援助をする仕事「臨床心理士」がある。

日本の心理学系の資格では、初の国家資格である「公認心理師」の資格を取得し、世界の医療・教育の現場で活躍したいと考えている。

臨床心理士は、心の問題を抱えた人に対してカウンセリング等を行い、専門的技法を用いて問題解決をサポートする仕事であり、少しずつ良い方向に導いていく。

この留学先で触れ合った子供たちとの学習で心理学を学び、複雑な環境で生活する人たちの心のケアについて考えさせられた。

今後、より多様化する社会の変化にも対応できる能力を身に付け、子供たち一人一人に寄り添って、考えていることを理解し、社会貢献に携わりたい。

カンボジアの国のみにならず、世界中の子供たちが豊かな生活を送れるよう、心の不安を取り除くための窓口になれるよう支援していきたいと思う。

またこの留学でぶつかった「言葉の壁」を乗り越えるべく、英語・クメール語だけだはなく様々な言語を学習し、自分の能力を高めていきたいと思う。

今の素直な気持ち

私は「トビタテ!留学JAPAN」に志望して本当に良かったと思っている。

この留学のおかげで、Project Abroadのおかげで、肌で触れることでしか得られない経験ができた。

私は最初、留学先で言葉の壁にぶつかりくじけそうになったが、自分が日本の代表であるという責任と自信を胸に自分からチャレンジし、最高の留学生活を送ることができた。

同じプログラムの中に日本人が多くいたら、気づくことのできなかったこともある。

発展途上国を生きる子供たちの成長に少しでも携われることが出来ていたら嬉しいと、自分の考えてきたアイデアを元に楽しそうに活動する子供たちを見て思った。

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 カンボジアでチャイルドケア&地域奉仕活動 秋葉秀尚

この体験談は、主観に基づいて綴られています。

その時の現地の需要や活動の進捗状況、参加時期、参加期間、天候などによって得られる経験が異なりますので、あらかじめご了承ください。

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