高校生になった今、行動へ

中学2年⽣の夏、フィリピンセブ島へ1週間語学留学をしたとき、スラム街やストリートチルドレンを初めて⾃分の⽬で⾒て、⼤きな衝撃を受けました。

テレビの世界でしかなかった貧困を肌で感じた瞬間でした。それと同時に、この現状をなんとかしたい!と思いました。

中学⽣のころの私はただ思うだけで終わらせてしまいましたが、⾼校⽣になり、SDGsなどの様々な考え⽅を知った私は、⾏動を起こさないと意味がないことに気づきました。

だから私は、ボランティアとして健康⾯から貧困問題解決に貢献するために⾏動したいと思いました。

渡航前は海外に⾏ける喜びと、新しい⾃分を⾒つけられるのではないかという期待でとてもワクワクしていました。

⾃分は⼆週間で変わって⾒せるんだ、 絶対に後悔のない留学にして⾒せるんだという⾃信もありました。

しかしその⼀⽅英語⼒の⾯で不安もありました。特に、英語で⾃分の⾔いたいことをしっかりと説明できるのか、そして医療英語を理解できるのかがとても不安でした。

そのため、私はノートに英語で⾃分のやりたいこと、例えば⽂房具の寄付であったり⽇本の歌の紹介を事前で英語で書いておいたり、糖尿病について英語で調べ書いておきました。

そうすることで不安を取り除くことができました。

フィリピンでの公衆衛生活動

実際の活動内容は以下の通りです。

Health Centerの⾒学:  

⽣まれて数時間しか経っていない新⽣児を抱っこさせてもらったり、出産後⼿術の⾒学をさせてもらいました。

フィリピンでは性に対する教育が受けられていない、お⾦がなくて避妊⽤具が買えないために、10代で妊娠出産をする⼈が多くいることが問題になっていることも学びました。   

薬局で⼿伝い :

薬剤師さんが⾔った薬を棚から取ったり、薬を⼊れるための紙袋を作ったりしました。  

⼿動⾎圧測定のやり⽅レッスン :

コーディネーターの⽅にやり⽅を教えてもらったあと、ペアになって実際に相⼿の⾎圧を測りました。  

セブ語のレッスン :

次の⽇から⾏った⽣活習慣な関するインタビューのときに使うセブ語を習いました。

⾃⼰紹介、簡単な質問、体の部位、病気の名前を習いました。  

⼭奥の地域に⾏って健康診断(⽣活習慣に関するインタビュー、⾎圧測定、⾎糖値測定):

街の病院からも遠く、普段医療を簡単に受けられない⼈達のところへ⾏きました。

特に⼭奥の地域だと最終教育が⼩学校の⼈も多く、英語を話せない⼈も多かったためインタビューはセブ語で⾏いました。

⾎圧、⾎糖値が平常より⾼かった場合は野菜やフルーツを⾷べるように⾔ったり、病院に⾏くように進めました。   

Health Center で⾏われた献⾎のサポート(献⾎前の⾎圧測定、体重測定)  :

献⾎ができる健康状態なのかチェックをしました。

⾎圧が⾼く献⾎ができない状態であれば15分休んでからもう⼀度測りに来るように⾔いました。  

中学校⾼校の健康診断の⼿伝い(視⼒検査):

視⼒検査のやり⽅の説明(英語)と実際に検査を⾏い、視⼒が悪い⼦にはその場にいる医者に診てもらうように⾔いました。   

乳児の予防接種をうけるところの⾒学 :

実際にポリオの予防薬を泣いている⾚ちゃんの⼝に2滴落とすことも体験しました。  

幼稚園で⻭磨きと⼿洗いのやり⽅についてプレゼン :

事前にポスターも作成し、それを使いながら⾏いました。

また、プレゼンの後⻭磨きを実際に⼦供達が⾏ったので、それのサポートもしました。

⽇本だと規制が厳しかったり患者さんのプライバシーの侵害になってできないことがフィリピンだとたくさん経験できました。

⼩さい⼦から中⾼⽣、お年寄りまで様々な年代の現地の⽅々と触れ合えました。

リアルなフィリピン生活

ホストファミリーもたくさん私たちと話してくれたり、ルームメイトも⽇本⼈でとても気 の合う⼦で周りの⼈には本当に恵まれたと思いました。

初⽇からフィリピンについて教えてくれたり、⽇本のことについて聞いてくれたりと仲良く過ごすことができました。

ホストファミリーと過ごした中で⼀番印象的なのは、ブラザーと⼀緒におりがみを折ったことです。

「もっと綺麗に作りたいから次のはもっと⾓を揃えてみるね!」と⾔ってくれたり、とても楽しんでいる様⼦で嬉しかったです。そして、作ったおりがみは棚に飾っていてくれたので、⾃分がそこにいた証のようなものを残せてよかったと思いました。

また、英語がわからなかった時も、ルームメイトと協⼒して⾔語の壁も乗り越えることができました。

しかし、⽣活⾯ではシャワーがなくバケツシャワーであったり、トイレとバケツシャワーのスペースがカーテン⼀枚だけしかなかったり、洗濯が⼿洗いだったりと苦労する⾯がたくさんありました。

ただ、これもリアルな現地のくらしを体験する良い機会だと思いました。

暑さは、1⽇⽬は慣れずクーラーもなく扇⾵機のみだったため、2週間もこの暑さに乗り切れるか不安でしたが、2⽇⽬からは体も適応してきて乗り切れることができました。

⾷事は野菜が週に1、2回しかでず、ずっと⾁とご飯だったため便秘に悩まされました。

しかし、味付けなどはすこし濃いと感じましたがとても⼝に合いました。

人々の温かさと言葉の壁

中学校、⾼校に⾏った時に健康診断のお⼿伝いをしに⾏き、そこでとても歓迎してもらったことが印象的です。

私はあんなにたくさんの⼈に感謝されたり、別れが寂しいと⾔ってもらったことはなかったのでとても嬉しく、フィリピンに来た意味を感じました。

中には「名前は何ですか?」や「かわいい」など少し⽇本語を知っている⼦もいて、⼀⽣懸命⽇本語を使って話してくれた時もありました。

そして、何より嬉しかったのが、たまたま次の⽇が誕⽣⽇で、明⽇誕⽣⽇なんだと⾔ったら、みんなでバースデーソングを歌ってくれたことです。

学校内ではすれ違うみんなに「hello」と⾔われたり⼿を振っただけで喜んでくれて、本当に⼼が温かくなりました。

この学校に限らず外国⼈だからかもしれませんが街中でも⾞の窓越しに⼿を振られたり、こちらから⼿を降ったり挨拶したら必ず返してくれたりと、フィリピン⼈の⼈懐っこく温厚な性格がとても印象に残っています。

⼤変だったことは⼭奥の地域へ⾏き健康診断を⾏なった中の⽣活習慣に関するインタビューです。なぜなら、⼭奥の地域に⾏ったこともあり、最終教育が初等教育で終わっている⼈ も多く英語があまり通じなかったからです。

事前に簡単なセブ語は習っていましたが、その限られたワードしか知らなかったためコミュニケーションをとることはとても⼤変でした。

それに、いくつか知っているとはいえやはり発⾳は⽇本語と異なるため、⾃分ではそのこと を⾔っているつもりでも伝わらないことが多くありました。

また私がセブ語を話せると、勘違いしてペラペラセブ語でなにかを⾔われたことも何度かあり、とても焦りました。

コーディネーターの⽅や看護師さんが通訳をしてくださったため問題はなかったですが、⾔語の壁は⼤きいと感じました。

⽣活⾯では、⽔道⽔を飲んではいけなかったり、トイレットペー パーを便器に捨てては⾏けなかったりと、普段⽇本で習慣付いていることとは真逆のことをやらなければならなかったので、それらに慣れなくて苦労しました。

自分の壁を打ち破った心の成長

このプログラムに参加して成⻑したことは、様々な⼈と⾃分から関わる⼒、コミュニケーション⼒だと思います。

フィリピンで過ごした⼆週間の中で、私は沢⼭の様々なバックグランドを持った⼈に出会い、関わりました。

健康診断をした時に出会った現地のおばあちゃん、中学⽣、⾼校⽣、幼稚園の⼦供達、お医者さん、看護師さん、薬剤師さん、そしてホストフ ァミリー、現地のコーディネーター、アメリカ、イギリス、スペイン、中国、台湾から来た ボランティア仲間、⽇本⼈でも様々な地区から来たボランティア仲間。

さらに⾞の中から窓越しに何度も⼿を降ったり投げキッスをしてくれたお兄さんたち、⾶⾏機の中から窓の外を⾒ていたら⼿を降ってくれた空港で整備をしていたお兄さんたち。

私はフィリピンにきて、本当に沢⼭の⼈に出会いました。

幼稚園の時から⼈⾒知りで⾃分の世界にこもっているような⼦だった私にとって、⼆週間という短い期間でこんなにも沢⼭の⼈たちとうまくコ ミュニケーションを取れたことは本当に⼤きな成⻑です。

フィリピンでは私⾃⾝が外国⼈で⽬⽴つ存在であったこともあると思いますが、街中で沢⼭の⼈と⽬が合いました。

そして、私は必ず毎回その⽬が合った⼈にhelloと⾔ったり、⼿を振っていました。なぜなら絶対にhelloと⼿を振り返してくれるからです。

周りから⾒れば元々⼈と関わることに慣れているように⾒えたかもしれないけれど、実は知らない⼈にhelloと⾃分から声をかけることは私にとってはすごく勇気のいることでした。

でも、フィリピン⼈の⼈懐っこい性格に救われて、そして友達がやっていたことに後押しされて、⾃分から声をかけるという癖をつけること  ができました。

⽇本にいたら⾒知らぬ⼈と⽬があっても無視をするだけで終わるので、この⼒はフィリピンで⼆週間過ごしたことがあったからこそつけられたのだと思います。

この経験を未来に活かすと誓った

私は医療格差に問題意識を持っているため、将来は科学者となって新しい治療法を開発することでその格差を減らしたいと思っていました。

その第⼀歩として、発展途上国の医療現場の現状を知りたい、そして何か貧困で苦しむ⼈たちのために⾃分でアクションを起こしたいと思ってこのプログラムに参加しました。

しかし、私が発展途上国で⾒たリアルな現場は良い意味でも悪い意味でも私の予想とは反していました。

良い意味では、発展途上国だからと⾔って⼈々が不幸せなのではないということです。いろんな⼈に挨拶をしあったり、近所づきあいが盛んだったりと、⽇本にいるより多くの⼈と関われて幸せなのではないかとすら思いました。

そして、悪い意味では、現地の⼈たちの健康に関する知識が乏しかったことです。私は健康診断をする中で「⼈⽣で⼀度も野菜を⾷べたことのないおばあちゃん」、「フルーツは⽢いから体に良くないと思っていたおばあちゃん」に出会いました。

本当に世の中にこういう⼈がいるのだと衝撃を受けました。そして、同時に⾃分の微⼒さを感じまし た。

私がたまたま出会ったそのおばあちゃん2⼈には正しい知識を教え、その2⼈はその後の⽣活習慣を改善していき、健康な⽣活を送れているかもしれません。

しかし、私が⾏かなかった地域にもそのような⼈はいるだろうし、フィリピンではないところにだってそういう⼈たちは沢⼭います。その⼈たちに今の私では何もすることができないのだ感じました。

だから、将来はもっと多くの⼈に今回⾏ったようなことをしたいと新たな⽬標を持ちました。⾼校⽣の今の私は微⼒だけれど、将来は必ず有⼒な⼈材になろうと決⼼しました。

宝物となった人との出逢い

このプログラムに参加して⼀番良かったと思うことは、沢⼭の⼈との出逢いです。フィリピンにボランティアをしに⾏かなかったら絶対に会わなかった⼈たちのとの出会いはまさに宝物です。

特に、プロジェクトアブロードの現地のコーディネーター⽅々には本当にお世話になりました。

正直、渡航前には⽇本⼈コーディネーターはいないし、⾃分の英語に⾃信がなかったため困ったことがあったときにしっかり伝えられるかとても不安でした。

しかし、コーディネーター全員とてもいい⼈たちで⾯⽩く、優しく親切な⽅でした。

英語もとても聴きやすく、難しいことの説明のときはfor exampleと⾔って、例を出しながら説明してくれたりと本当にわかりやすかったです。私があまり英語で苦労せずに⼊れたのも、コーディネーターの⽅がわかりやすく説明してくださったからだと思います。

朝もいつも笑顔で「オハヨウ!」と⾔ってくださったり、とても⼼が温かくなりました。

現地のコーディネーターと⽅々との別れが⼀番寂しく、絶対にまたフィリピンに帰ってこようと思いました。

プロジェクトアブロードのプログラムに参加して、本当に良かったと思っています!

⼀⽣忘れられない経験ができました!!

これから参加する⼈へ

私はプログラムに参加して⼀番良かったと思うことは、沢⼭の⼈に出会えたことです。

海外に友達や仲間を持てる機会なんて多くはないはずです。せっかく参加するのだったら、できるだけ多くの⼈と友達になって来てください。

最後の⽇に「別れたくない」と思える⼈たちと沢⼭出会って、絆を築いてきてください。プロジェクトアブロードはその機会を沢⼭作ってくださっています。

その機会を無駄にせず勇気を出して声をかけてみたり、積極的に話かけに⾏ってみてください。そうすれば⾃然と⼈は集まってくるはずです。

英語が不安だったりどう話しかけに⾏けば良いのかわからないと思うなら、なにか事前に⽇本について説明できるように準備していきましょう。

写真を⾒せたり、⽇本のお菓⼦をあげたり、おりがみを⼀緒に作ってみるとさらに会話が広がります!

海外の⼦達はとても⽇本に興味を持ってくれます。きっと仲良くなれるはずです。

不安なこともあると思いますが、仲間ができれば楽しくなるに決まっています!!

みなさんの留学が最⾼なものになるように応援しています!!

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フィリピンで公衆衛生 高橋優衣

この体験談は、主観に基づいて綴られています。

その時の現地の需要や活動の進捗状況、参加時期、参加期間、天候などによって得られる経験が異なりますので、あらかじめご了承ください。

ご不明な点は、お気軽にお問い合わせください。