フィジーから5年
私が初めてProjects Abroadのプログラムに参加したのは、5年前の高校生の時でした。
フィジーでの村落開発プログラムに参加し、現地の人々と共に生活しながら学んだ経験は、私の価値観を大きく変えるものとなりました。
それ以来、いつかアフリカにも行ってみたいと思い続けていました。
そして大学3年生になり、研究や就職活動が本格化する前のラストチャンスだと考え、念願のアフリカ・タンザニアへのボランティア留学を決意しました。
スタッフの手厚いサポートと充実した活動内容が魅力的だったことも、再びProjects Abroadを利用する決め手の一つでした。
勉強しながらの挑戦
私の専攻は農学で、ビジネスの経験はありません。
それでも、タンザニアの人々のリアルな生活を知るためには、生活の基盤であるビジネスにアプローチするのが最適だと考えました。
マイクロファイナンスのプロジェクトなら、現地の女性たちがどのような困難に直面し、どのような思いで生活しているのかを直接知ることができると思ったのです。
知識も経験もない中での挑戦でしたが、自分自身も勉強しながら取り組むことを決めました。
現地での活動
私が参加したマイクロファイナンスの活動は、大きく分けて「女性グループの訪問」と「個別インタビュー」の2つです。
活動の拠点はタンザニア北部の都市・アルーシャ。
現地の女性たちは小規模なビジネスを営みながら、お互いに助け合って生活しています。
訪問するグループは曜日ごとに決まっており、それぞれのグループに合った指導を行いました。
簿記の基本を教えたり、計算が苦手な人には負の数の概念から教えたりと、レベルに応じた内容を考えました。
また、個別インタビューではビジネスの状況だけでなく、彼女たちの人生や現在の悩みについても話を聞くことができました。
特に「幸せとは何か?」というテーマについて話したことが印象的でした。
5年前にフィジーで経験したように、現地の人々が持つ「幸せの定義」に触れることは、私自身の人生の軸を見つめ直すきっかけになりました(フィジーでの体験談:フィジーで村落生活体験 栗本朱莉)。
イレギュラーな活動として、医療チームの人手が足りない際にアウトリーチ活動の手伝いも経験しました。
バスで数時間かけてマサイ村へ向かい、簡易診療所を開設しました。
私は医学の知識はほとんどないので、拙いスワヒリ語とマサイ語でひたすら問診を行いました。
タンザニアでの生活面
活動のある平日は「ホストファミリー宅出発→オフィスでスタッフと合流→女性グループ訪問→オフィスに戻ってレポート作成・資料準備→帰宅」というサイクルで活動していました。
移動は公共バスの“Daladala”です。
Daladalaは小型のハイエースのような乗り物ですが、10人乗りくらいの車両に20人ほどが詰め込まれ、座席はあってないようなものでした。
人の肩に手を置きながら立って乗るのが日常茶飯事で、運転席と助手席の間のバケツ(?)に座らされたこともありました。笑
休日は自由時間です。
初めの週は勉強に充てましたが、翌週からは他のボランティアと共にコーヒー農園見学やハイキングを楽しみました。
タンザニアに来たら、サファリには必ず行ってほしいです!ンゴロンゴロクレーターの壮大な自然と野生動物の姿は圧巻でした。
また、ホストファミリーのお姉さんと一緒に隣国のケニア・ナイロビへ小旅行する機会もありました。
悔しさをバネ
活動では、簿記チェック以外は自由にやりたいことを実施できました。
最初の面談で現地スタッフから「あなたには何ができる?」と聞かれたとき、自信を持って答えられなかったことがとにかく悔しかったです。
ビジネスの知識も経験もなく、今の自分には何もできないことを痛感しました。
しかし、そこから自分も学びながら活動を進めることを決意しました。
英語での簿記やビジネスプランについて勉強し、起業家の知り合いやマーケティングのインターンをしている友人の助けを借りながら知識を深めました。
活動してみて特に感じたのは、Projects Abroadの存在が彼女たちの人生にとって非常に重要であるということです。
支援がなければお店を諦めざるを得ないと話す女性が多く、私たちボランティアから簿記の付け方を教わるまでは損失にすら気づけなかった人もいました。
そのような状況の中で、私のように経験がない人間でも、少しでも彼女たちの役に立ちたいという思いで行動し続けました。
私は持ち前のクリエイティブさを活かして、私なりに企画を提案しました。
例えば、簿記の学習を楽しくするためのManagement Gameを考案し、戦略を考えながらより実践的な経営の流れを学べるよう工夫しました。
また、新たなビジネスを始めるグループには、商品のパッケージングの重要性についてプレゼンを行い、キテンゲ(タンザニアの伝統的な布)を活用した可愛い梱包アイディアを提案しました。
今後にどう活かすか
今回の活動を通じて、改めて「世界中の人々を幸せにすること」が私の人生の軸であると実感しました。
これからも自身の専門分野を活かしつつ、持続可能な方法で人々の生活を支える仕組みについて学びを深め、自分なりの貢献の形を見つけていきたいと考えています。
ビジネスや教育、地域支援など、幅広い視点でアプローチしながら、自分の可能性を広げていきたいです。
これから参加する方へ
自信がなくても、今の自分にできることを最大限にやってみることが大切です。
日本とは違い、自主的に動かないと埋もれてしまう環境なので、自ら積極的に関わることで多くの学びが得られるはずです。
この経験が、誰かの背中を押すきっかけになれば嬉しいです。

この体験談は、主観に基づいて綴られています。
その時の現地の需要や活動の進捗状況、参加時期、参加期間、天候などによって得られる経験が異なりますので、あらかじめご了承ください。
ご不明な点は、お気軽にお問い合わせください。