出会いは一つの写真から

幼いころから海外に住んで現地校に通ううちに、いつしか様々な国の人とコミュニケーションを取り、異文化を学ぶことに興味を持つようになりました。

そこで高2の夏、海外に渡航して今後の将来にも役立つような経験を得たいと思い、インターネットで行き先を探しているとケニアで環境保護をするという記事を見かけました。

それまで僕にとってケニアは教科書に載っているアフリカの動物王国の一つであり、またアフリカ大陸は自分にとって未知の世界でした。

しかしながら、僕は記事に載っていた一つの写真に大いに惹かれました。

それは、六メートルのキリンの群れが、広大なサバンナを歩いているものでした。

海外の高校生と協力しながらキリンの観察をしたり、雄大なケニアのサバンナに沈む太陽を想像するだけでもう興奮が止まず、ぜひ行ってみたいと思いました。

これが僕とケニアの大自然との出会いであり、冒険の始まりでした。

ケニアへの旅路

羽田空港から飛行機を乗り継いで、22時間。

ついに、念願のナイロビに到着しました。

スタッフの方たちが迎えに来て下さっていて、ジープに三時間乗ってベースキャンプに到着しました。

道中で車窓から月明かりの中サバンナを走るシマウマや、ナイロビの町の様子が見えた時、「本当に来たんだなぁ」という実感がわきました。

毎日のボランティア活動

毎日の活動は、午前と午後に分かれていて、午前中は八時から十一時、午後は二時から五時までの一日六時間の活動時間となっていました。

活動内容は、メインとなるロスチャイルドキリンの生態保護に加えて、湖に何千といるフラミンゴを主とした野鳥観察、植林作業、皆で広大なサバンナを歩いて罠を撤去するなど、日本では絶対に体験できないようなものばかりで、毎日感動と興奮の連続でした。

また、週末は一泊二日、車で二時間ほど離れたナイヴァシャ湖に行きました。

ボートに乗って野生のカバを見たり、自転車で大平原をかけるなど、アフリカの大自然を肌で感じることが出来る体験が目白押しでした。

その夜は、ボランティアメンバー全員で焚火を囲みながら、満天の星空の下で談笑しました。

東京のネオンとは比べものにならないその美しさに、僕は見惚れていました。

恵まれた生活ではないけれども、この星空の下で大自然と共に暮らす彼らが、少し羨ましくも感じました。

心に焼き付いたその姿

僕が、二週間の活動で最も印象に残っているのは、初めてロスチャイルドキリンを見た瞬間です。

僕が写真を見て思っていたのよりもはるかに大きくて、その大きさにとても驚きました。

広大なサバンナをゆうゆうと歩く姿は、この大自然の全てを知り尽くしたような出で立ちでした。

その光景は、僕にとってとても感慨深くて、改めて来て良かったと思いました。

ケニアでのワイルド生活

僕たちボランティアメンバーは、ソイサンブ自然保護区内の共同ベースキャンプに泊まり、共に助け合って生活をしました。

朝、皆でジョギングに行くと目の前にシマウマがいるといった秘境の地にありましたが、生活に必要な最低限のものは全てそろっていたのでそこまで、苦労はしませんでした。

最初は、皆が話す英語がとても速くて聞き取れず焦りを感じましたが、バレーボールやボードゲームなどをしていくにつれて言語の壁を越えて仲良くなることが出来ました。

また、ボランティアメンバーは世界各国から来ていて、様々な国の文化を学び、そして日本の文化の魅力を伝えることが出来たのもよい経験でした。

帰国した今では、大自然に囲まれた小さな家で毎日英語でコミュニケーションを取っていた自分が信じられないと同時に、向こうでの緩やかな時間の流れがとても恋しく思います。

本当の豊かさとは

渡航するまで僕は、日本の方が物の豊かさではるかにケニアより恵まれているのだから、日本人の方が幸せな暮らしをしていて、また自分がケニアの人々が日本のような暮らしに少しでも近づける力になれればよいと考えていました。

しかし実際に行って、ガスや水道がない中でも、笑顔で話しかけてくれる優しさがありふれた人々。

広大なサバンナに沈む夕日や星空を眺め、サバンナで暮らす野生動物と共存する彼らの暮らしぶりを見ることで、その考え方は大きく変わりました。

彼らの生活は、私たち日本人が想像する貧しさや不便さからはかけ離れたものでした。

そこには、日本では味わうことのできない幸せがあり、またそれは日本が発展していく過程で失ったものにも思われました。

キリンやシマウマを見ながら、何キロも歩いて登校するケニアの学生、かたや毎日満員電車に乗って通う僕を含めた日本の学生、どちらが本当の意味で幸せなのでしょうか。

最後に伝えたい感謝

この二週間、本当に有意義な時間を過ごすことが出来ました。

そして、本当に多くのことを学びました。

しかしこのプログラムは、僕一人の力では到底達成することが出来ませんでした。

支えてくれたプロジェクトアブロードの皆さん、出会った13人のかけがえのない仲間、そして家族に心から感謝したいと思います。

そして、これを読んで一人でも多くの人がケニアや環境保護活動に興味をもって頂ければ幸いです。

ケニアの大自然にはあなたを大きく成長させてくれる夢が詰まっています。

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ケニアでアフリカ東部サバンナ環境保護 山口大河

この体験談は、主観に基づいて綴られています。

その時の現地の需要や活動の進捗状況、参加時期、参加期間、天候などによって得られる経験が異なりますので、あらかじめご了承ください。

ご不明な点は、お気軽にお問い合わせください。