なぜタンザニアへ留学に行こうと思ったのか

私はもともとアフリカという大地や独特の文化、そして現地の人々に魅力を感じていて、いつか必ず行ってみたいとずっと思っていました。

高校1年生の春、Projects Abroadという団体を見つけ、「この夏を人生で一番の挑戦にしよう!」とおもい、参加を決めました。

私は将来、医療の道に進むつもりはありませんでしたが、医療プログラムに惹かれたのには理由があります。

以前インドに3年半住んでいた経験があり、発展途上国の現状を実際に目にしたことがありました。

だからこそ、「医療」という人々の生活に欠かせない分野が、どのような環境でどのように支えられているのかを自分の目で確かめたいと思ったのです。

行く前の準備・不安

出発前はドキドキとワクワクで胸がいっぱいで、不安はほとんどありませんでした。

事前にZOOMで顔合わせをしたり、メールで連絡を取り合っていたおかげで、安心感があったのだと思います。

日本食としてカップ麺やおかゆのレトルトを持っていきましたが、タンザニアの料理は想像以上においしく、日本人の口にも合っていたので、正直あまり必要ありませんでした。

現地のスーパーには輸入品も多く、お願いすればいつでも買い物に行けます。

ポテトチップスやグミなどのお菓子もあり、バスの中でみんなとシェアして食べるのが楽しい時間でした。

留学先の環境について

丸一日かけてタンザニアに到着したのは夕方で、空がオレンジ色に染まっていて本当に綺麗でした。

機内からはキリマンジャロ山も見えて、その存在感に圧倒されました。

入国の際にビザの手続きなどがかなり時間がかかり、現地スタッフの方と会えた頃にはすっかり夜になっていましたが、笑顔で温かく迎えてくださり、長旅の疲れが一気に吹き飛びました。

また、私たち医療チームの滞在先に着いたのは深夜0時を過ぎていて、みんなへとへとでしたが、ホストファミリーのお母さんは遅い時間にもかかわらず笑顔で出迎えてくれて安心しました。

家は広くて清潔で、生活に困ることはほとんどありませんでしたが、唯一大変だったのはシャワーのお湯が出ない日が多かったことです。

水圧も弱く、冷たい水でシャワーを浴びる日もありましたが、それも今では良い思い出です。

ホストマザーの作ってくれるご飯はとてもおいしく、特にお昼ご飯のボリュームが多かったです。いつかまたあの味を食べたいです。

病院での活動

病院では、ボランティアが2人1組になって、さまざまな科を順番に回りました。

私は放射線科、産婦人科、手術室、歯科、受付などを体験しました。

1日に希望すれば2〜4つの科を回ることができたのですが、私は特に印象に残った科に何度も行かせてもらったので、結果的に回った種類は少なめだったかもしれませんが、一つ一つの経験がとても濃く、どの科でも新しい発見がありました。

放射線医学

放射線科では、ウルトラサウンドやレントゲンを使って痛みの原因を調べていました。

しかし、骨折している患者さんが来たとき、私たちの病院では治療ができず、「大きな病院に行ってください」と伝えていました。

最初は「別の部屋で治療をするのかな」と思っていたのですが、ドクターに聞いてみると、「この病院では治せないから別の病院に行ってもらうんだよ」と教えてくれました。

その言葉を聞いたときは本当に衝撃を受けました。

日本では骨折はほとんどの病院で治せるのが当たり前ですが、ここではそうではありませんでした。

限られた環境の中で、できることを最大限に行っている姿を見て、私たちが普段当たり前だと感じていることは、決して世界共通ではないということを改めて実感しました。

手術室

手術室では強い印象を受けました。

実際に、バイク事故で皮膚が剥がれ、骨まで見えている患者さんの傷口をガーゼで消毒するなどのお手伝いなどもさせてもらいました。

その後も3回ほど手術室を訪れ、ドクターに顔と名前を覚えてもらいました。

毎回「明日もここに来てね!」と言ってもらえるのが本当にうれしかったです。

さらにそのドクターと誕生日が同じだったこともあり、話が盛り上がってすぐに仲良くなれました。

この経験を通して、医療現場の現実と同時に、人とのつながりの温かさも強く感じました。

歯医者

歯医者では、患者さんの歯のフィリングを手伝ったり、口の中の水を吸い取る機械を使って先生のアシストをしたり、指示された道具を渡したり、ガーゼを切るなどの雑用をしたりと、さまざまなことを経験しました。

実際に手を動かす作業が多く、とても楽しかった記憶があります。

ここでも先生と仲良くなり、「英語がとても上手だね。明日も来てね!」と言われたときは本当にうれしかったです。

自分が必要とされていると感じられることが、こんなにうれしいことなんだと気づいた瞬間でした。

産婦人科

産婦人科には2回行ったのですが、2回ともお産をみることができました。

病院で行ってきた活動の中で一番印象に残っているのが産婦人科です。

いのちの誕生をこんなにも間近でみることは一生ないと思うので、とても良い経験になりました。

アフリカでは日本に比べると全ての工程がスピーディーに行われるので、それも印象的でした。

病院以外での活動

病院以外の活動もとても充実しており、アウトリーチ、ダンスレッスン、孤児院訪問、郷土料理作り体験、オーガニックファーム訪問、買い物などさまざまな経験をしました。

孤児院ではたくさんの小さい子と触れ合うことができ、胸がいっぱいになりました。

アウトリーチも薬剤係という担当を振り当てられて大変でしたが、良い思い出です。

週末旅行では、他のボランティアグループ(チャイルドケアなど)の人とも交流するため、とても楽しかったです。

タンザニアで迎えた誕生日

私の誕生日は7月31日で、アフリカ・タンザニアの地で迎える始めての誕生日でした。

前日に私のチームのコーディネーターさんに「明日私の誕生日なんだー!」と伝えたところ、次の日の夜ご飯はカラオケがあるピザ屋さんを予約してくれました。

そこでは同じグループの人たちとそれぞれの国の国家を歌ったり、お気に入りの曲を歌ったりして楽しかったです。

ケーキもピンクの可愛いものを用意してくださり、嬉しかったです。

学んだこと

私はこの2週間のプログラムを通じて、ボランティア活動だけでなく、人々の生き方や文化、価値観など、教科書では学べない多くのことを学びました。

タンザニアの人々は、時間に追われず「ポレポレ」という精神を大切にして生きています。

ポレポレ文化は私にとってとても心地よく、自分に合っていると感じました。

一方で、発展途上国が抱える現実にも直面しました。

医療や教育、生活環境など、まだまだ十分とは言えない状況が確かに存在していて、日本で当たり前と思っていたものが、当たり前ではないということを改めて痛感しました。

この経験を通して、今の生活に感謝する気持ちが一層強くなりました。

そして何より、私は「誰かを笑顔にできる人になりたい」という思いがより明確になりました。

今回の経験で終わりではなくこれからをスタートラインとして、これからもボランティア活動に積極的に取り組み、今私たちが抱えている問題を少しずつでも良い方向へ変えていける一員になりたいと思います。

これから参加する高校生へ

このプロジェクトで何より大切なのは「積極性」です!

どんなことにも積極的に質問し、アクティビティには全力で参加して、恥ずかしがらずに挑戦することで、さらに良い思い出が作れます。

また、プロジェクトの中に日本人がいたとしても、ぜひ海外の参加者とたくさん交流してみてください。

英語の練習にもなるうえ、海外に友達をつくる絶好のチャンスです。

日本人だけで固まってしまうと、海外の人たちも気を使ってしまうと思うので、日本人同士で行動しすぎないことを強くおすすめします。

私は今でも、プログラムで出会った友人たちと写真を送り合ったり、メッセージを交換したりしています。

同じ夢や目標を持って集まっている仲間だからこそ、より深くつながれると思います。

人生で一度しかできないような貴重な経験を、Projects Abroadを通して楽しんでください!

プログラム詳細へ

体験談一覧へ

タンザニアの病院で新生児を抱く高校生医療ボランティア清瀬心結さん

この体験談は、主観に基づいて綴られています。

その時の現地の需要や活動の進捗状況、参加時期、参加期間、天候などによって得られる経験が異なりますので、あらかじめご了承ください。

ご不明な点は、お気軽にお問い合わせください。