国際協力 ✖ 母子保健活動

私は中学生の頃、国際協力に携わっていた叔父の影響で途上国での活動に関心を持ち、特に母子保健活動に携わりたいという思いから、助産師を目指すようになりました。

看護学部の3年生の春休みに、「ネパールでの看護インターンシップ」と「ネパールでのチャイルドケアの海外ボランティア」に合わせて5週間参加しました。

プロジェクトアブロードは活動内容や開始日、期間を自由に選べる点が魅力で、ネパールを選んだ理由は、家族とのつながりが深い文化で看護を学びたかったこと、また治安が比較的良いというイメージを持っていたからです。

私は、周産期の医療について学ぶ、2つの地域で活動し地域による医療の違いを知るという2つの目的を立てて活動に取り組みました。

現地での活動

私は最初の4週間をチトワンのChitwan Medical College Teaching Hospital(CMC)で、最後の1週間をカトマンズのAlka Hospital(3日間)とNutrition Rehabilitation Home(NRH)(2日間)で活動しました。

渡航前はチトワンで3週間、カトマンズで2週間の活動予定を立てていましたが、現地のスタッフからCMCがAlka Hospitalよりも規模が大きく、より多くの実践の機会があると聞き、スケジュールを調整しました。

CMCでは、産婦人科病棟(2週間)、小児科病棟(1週間)、NICU、整形外科病棟、ER、手術室など、さまざまな病棟で活動しました。

また、提携しているChitwan Human Serve Homeにも訪問しました。

活動内容は、バイタルサインの測定、ベッドメイキング、処置の準備・片付け、歩行介助、授乳の手伝い、スプーン授乳、経管栄養の注入、物品整理、沐浴指導の補助、分娩介助などを行いました。

また、患者様から赤ちゃんの世話を頼まれたり、医師や看護師から処置の補助を任されたりしました。

さらに、帝王切開やIUDの取り外し、MVA(人工妊娠中絶)の見学もさせていただきました。

Alka hospitalでは、産婦人科外来、小児科外来、一般内科外来、手術室でシャドーイング中心の活動を行いました。

NRHでは、子どもたちと遊んだり、定期診察を見学したり、食事の様子を観察することが中心でした。

日本での実習経験を活かし、積極的にケアに参加し、疑問に思ったことをその都度質問をするようにしていました。

皆さん丁寧に質問に答えてくれました。

業務が落ち着いた時には、ネパールと日本の医療やケアの違いについて話し合いました。

英語力不足で伝えたいことが伝えられないときには翻訳機も使用しました。

日本の医療制度や看護について、自分の言葉で詳しく正確に伝えられるように渡航前にもっと準備しておくべきだったとも感じました。

また、英語を話さない患者様とのコミュニケーションには戸惑いもありましたが、ネパール語で簡単なフレーズを覚え、またジェスチャーを使うことで、言葉の壁を乗り越えることができました。

現地の言葉を使うことで距離がぐっと縮まり、より信頼関係を築くことができたと感じました。

ネパール生活

ネパールでの生活はホームステイをしました。

食事は現地でできた友人からおすすめのローカルフードを教えてもらい、毎日新しい料理に挑戦しました。

スパイスが効いた辛い料理が多かったですが、次第に慣れていきました。

ホームステイ先の家族はとても親切で、親戚のパーティーや地域のイベントにも積極的に参加させてくれました。

家にはWi-Fiも完備されており、お湯の出るシャワーもあり、快適に過ごせる環境が整っていました。

洗濯は毎朝手洗いで行っていました。

週末には、チトワン国立公園でのサファリツアーを楽しんだほか、ドイツからのボランティアと一緒に2泊3日でポカラやバンディプルを訪れました。

バンディプルでは偶然通りかかった病院を見学させてもらうこともできました。

何よりもかけがえのない経験

異なる文化や価値観に触れ、現地の医師や看護師たちの医療に対する強い思いを直接聞くことができたことが、何よりもかけがえのない経験となりました。

ある医師の「ネパールは貧困国だけど、考えは裕福なんだ」という言葉が心に深く残っています。

活動中、日本であればもっと機器や物資に頼る場面でも、限られた医療設備や物品の中で目の前の患者を真剣に考え、対応する医師や看護師たちの姿を間近で見ることができました。

この経験を通じて、医療において「高度な技術や設備」の重要性はもちろんですが、それだけではなく、医療従事者の「工夫と思いやり」がどれほど重要であるかを改めて実感しました。

また、どんな状況でも柔軟に考え、環境に適応して取り組むことの大切さを学びました。

物質的な豊かさが必ずしも幸福や充実をもたらすわけではなく、むしろ人々の考え方や価値観、そして互いに対する思いやりこそが、本当の「豊かさ」であるのだと気づかされました。 

これから参加する方へ

このプログラムでは、自分の学びたいこと、経験したいことにあわせて活動をすることができます。

現地のスタッフや医師、看護師と積極的にコミュニケーションを取ることをお勧めします。

きっと、期待以上の学びや出会いがあるはずです。

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この体験談は、主観に基づいて綴られています。

その時の現地の需要や活動の進捗状況、参加時期、参加期間、天候などによって得られる経験が異なりますので、あらかじめご了承ください。

ご不明な点は、お気軽にお問い合わせください。