私はこの夏、南アフリカで3週間を過ごしました。この3週間は、今まで過ごしてきた17年間で最高の時間でした。

今回の南アフリカ行きは、文部科学省の「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」高校生コースの国際ボランティア分野に応募し採用され、実現しました。

トビタテ応募時に自分で渡航計画を作成するのですが、インターネットで検索していて、プロジェクトアブロードのホームページを見た時「これだ!」と思いました。

なぜなら、いろいろな国から同年代の参加者が集まり、一緒に活動できるという点が、活動国の文化だけではなく、他の国の文化も学ぶ良い機会になると思ったからです。また、日本人の参加者が少ないところも気に入りました。

私は、高校生スペシャルの法律&人権プロジェクト2週間に、一般のケアプロジェクトを1週間追加して3週間の活動計画を立てました。

私は将来、NGO団体などで働いて、難民や貧しい国で暮らす人々の力になりたいと思っています。そう思うようになったきっかけは、大好きなイギリスのボーイズ・グループ”One Direction”がチャリティーでガーナにミュージックビデオを撮影しに行った時の映像を見たことです。

たまたま日本に生まれた私と、たまたまガーナに生まれた彼ら。たったそれだけの違いなのに、どうして彼らは日本で暮らしていたら想像もつかないような生活を強いられているのか。

遠く離れた国で起きていることといえど、他人事ではないと思いました。そして人権について学びたいと考え、今回のプロジェクトを選びました。

私の場合は戸籍や入国書類のことで様々な問題に直面し、また、一人で飛行機に乗るのも初めてなうえに乗り換えがあり、無事入国できるか不安でしたが、プロジェクトアブロードのスタッフの方々にサポートしていただいたおかげで、問題なく南アフリカに入国することができました。

ホストファミリーの家に到着すると、ホストマザーのFayeがとても優しく迎えてくださりました。

そして部屋を案内すると言われ、Fayeの後をついてダイニングに入った瞬間ぎょっとしました。玄関から私の部屋に行くまでには、ダイニングを通る必要があるのですが、ダイニングではすでに25人程が夕食をとっているところでした。

こんなにたくさんの人がステイしているとは全く思っていなかったので、驚きましたし、打ち解けられるか不安にもなりました。でも、それが余計な心配だったということはすぐに分かりました。

一緒にステイしていた人たちは本当にみんないい人たちで、最初こそ人数の多さに驚きましたが、今では、もし彼らと一緒にステイしていなかったら、ここまで素敵な思い出はできなかったとさえ思います。

部屋は4人1部屋でしたが、寝る時間以外はほとんどダイニングでみんなと過ごし、毎晩遅くまでホストマザーやホストメイトと人権問題等について語り合いました。友達もたくさんでき、今でも連絡を取り合っています。

法律&人権プロジェクトでは、模擬裁判の準備をしたり、博物館に行ってアパルトヘイトについて学んだり、スープキッチン(炊き出し)の活動をしたり、観光に行ったりしました。

中でも、スープキッチンと模擬裁判は、とても印象に残っています。

スープキッチンでは、私たちが「アフリカ」と聞いて想像するような家が立ち並ぶ地域に行きました。

ホストファミリーの家は、電気も水道もあり、シャワーからはお湯も出る、日本とほとんど変わらない(ステイ先にはお手伝いさんが数人いたので日本より良い生活だったかも)生活を送っていたため、南アフリカ国内での格差がいかに大きいかを痛感しました。

模擬裁判は正直なところ、何回も投げ出したくなりました。弁護士側なのに、いくら考えても容疑者を弁護する言い分が思いつかなかったり、どんなに時間を割いても自分が役に立っていないように感じたり…。

でも、今思い返せば、たくさんの壁にぶつかったけれど、それはそれで楽しかったです。

模擬裁判を通して一番鍛えられたと感じるのは、忍耐力です。どんなに不可能に思えても、できるだけのことはやってみよう、と思えるようになりました。

そして、外国語で話すときに大切なのは、上手に話すことではなく、「伝わること」だということにも気が付かされました。このことに気が付いて、模擬裁判の話し合いにも積極的に参加できたことは、自分にとって大きな自信にもなりました。

高校生スペシャルでの2週間では、本当に貴重な経験をすることができました。

南アフリカの良いところも、そしてこれから改善していかなくてはならないところも、私が見てきたものはほんの一部かもしれませんが、この目で見て、感じることができました。

南アフリカという国は、非常に多様性に溢れていて、興味深い国です。

教会がたくさんあるかと思えば、モスクもたくさんありました。一方で、南アフリカの国内での経済的な格差は、同じ国の中でこんなにも違うものなのか、と思わずにはいられないほど大きいです。

良い意味でも悪い意味でも、南アフリカは1つの国に世界を凝縮したような国です。高校生の私にできることは何か、高校生の今、やるべきことは何かを、私に考えさせてくれました。

最後の1週間は一般のケアプロジェクトに参加しました。南アフリカではアジア人は珍しいようで、子どもたちが私のところにばかり集まってくるので、一度に何人もの子ども達を相手にしなくてはならず、最初は戸惑いましたが、みんなとても可愛くて楽しく活動することができました。

高校生スペシャルは本当に素晴らしいプログラムですが、高校生のうちしか参加することができません。

迷わずに一歩を踏み出してみてください。世界が広がります。

私の母も最初は心配していましたが、高校生スペシャルは現地スタッフが常に同行し、サポートしてくれるので心配はいりません。

私は今回の経験を生かし、自身のボランティア活動の幅を広げて行こうと思っています。

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 南アフリカ共和国で人権 金子百合恵

この体験談は、主観に基づいて綴られています。

その時の現地の需要や活動の進捗状況、参加時期、参加期間、天候などによって得られる経験が異なりますので、あらかじめご了承ください。

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