こんにちは、2009年7月にルーマニア考古学プログラムに参加した村上です。

それについての感想を、考古学プログラムを選んだ経緯、発掘現場での一日および宿泊先、ルーマニアの人々と風景と食事、ルーマニアでの滞在の意義、考古学プログラムのススメ、の順に簡単に紹介します。

まずルーマニアで考古学プログラムを行おうとした経緯について。

僕は欧州の文化に興味があり、とりわけ古い教会建築や中世の面影を強く残す町並みに興味があり、以前から日本から東欧という地理的にも文化的にも離れた地に行ってみたいと思っていました。

西欧にももちろん興味はありますが、そちらは年齢を重ねてからも行く機会がたくさんあると思われる一方、東欧にはなかなか行く機会が持てないだろうという考えもあり、大国に影響されながら長い歴史を歩んできたルーマニアを選択しました。

また、考古学を選んだ理由もやはり古いもの好きだから、という単純な理由でした。ちなみに、大学で考古学を専攻しているわけでも、以前に発掘調査をしたことがあるわけでもありませんでした。

次に発掘現場と一日の流れと宿泊先について。

私が行った時期、考古学プログラムは北西部の小さな田舎町Simleu Silvanieiで行われていました。そこで、15-16世紀の修道院跡を発掘しました。

朝7時30分に起床して朝食をとり、歩いて5分の遺跡に向かい、9時頃から作業が始まりました。朝は9時から12時までで、1時間ほど昼休みがあり、その後午後は1時から4時まで作業でした。

内容は主なのがハンマーを使った穴掘りで、他にブラシを使った壁の掃除、計測器を用いた遺跡の素描、バラバラの陶器の修繕などもあります。遺跡発掘はなかなか重労働ですが、古い皿や陶器や骨を発見したときはかなり感激するはずです。作図が得意な人は、遺跡の素描も楽しく感じられると思います。

また、私の場合、宿泊先は修道士が寝泊まりするセミナーハウスでした。夜中は蚊とハエが身の回りを飛んでいて煩わしかったですが、スプレーなどで対処できました。ですので、現地でスプレーを購入した方が良いといえます。

第三にルーマニアの人々、風景、食事にについて。

ルーマニア人は明るく社交的な人が多いです。例えば、私は宿泊先の隣のバーで現地の人に話しかけられ、気づいたら打ち解けることができ、その翌日に山登りに誘われドイツ・フランスから来たボランティアと共に行って来ました。

また、都市を離れると手つかずの自然、中世と変わらぬ村々、馬車にまたがり民族衣装を着た人々に出会えます。近代化されていない純朴な風景があるのです。

料理に関して、日本人に馴染みのものは無いでしょう。ですが、例えばひき肉をキャベツで巻いたサルマーレという料理など、日本人の口に合うものが多いと思います。

第四にルーマニアでの滞在の意義について。

正直に言うと、ルーマニアは日本に比べると様々な点において遅れています。

例えば部屋にはエアコンが無いのが当然であったり、道路等のインフラ設備が不十分であったりと滞在中に不便に感じる点も多かったです。また人々の生活水準も低いです。

ですが彼らはいたって楽天的であり、日本人ようにあくせくしていません。むしろ日本より、ルーマニアの人々の方が心の豊かさの点では勝るとさえ思ったほどです。

加えて前述の通り、都市から少しでも離れれば大自然と中世の佇まいを残す村々が点在します。こうしたことから私は経済的、技術的発展を追い求めることばかりが「幸福」に繋がるわけではないし、時としてそれらは人を疲労させることもあるので、自然や伝統に根ざした生活というものを忘れてはならないのではないかと思いました。

最後に、どのような人がルーマニア、そして考古学プログラムに適するかについて書きます。

ルーマニアは、欧州に興味がある人はもちろん、そうでない人も「本当に」異なる文化圏を訪れたいと考える人にもおススメです。

考古学も、興味がある人にはぜひ、力仕事が好きな人にも、古いものが好きな人にもおススメです。

ただし、やはりある程度の肉体労働であるということは強調しておきたいです(私自身、体力が無いので連日くたびれていた時期もありました)。

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この体験談は、主観に基づいて綴られています。

その時の現地の需要や活動の進捗状況、参加時期、参加期間、天候などによって得られる経験が異なりますので、あらかじめご了承ください。

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