先進国だけが世界じゃないという思い

プロジェクトアブロードとの出会いは、何年前だったかもう忘れてしまいましたが、新聞広告を見て説明会に行きました。フランス語圏のアフリカで、できれば障がいをもつ子どもを対象とする活動をしたいと考えていて、モロッコで活動した方の話を聞きました。

その時に聞いた活動内容すら忘れてしまいましたが、フランス語圏のアフリカといってもアラビア語の方が一般的に使われている場合も多いとか、食事の内容はタジンやクスクスなど私が好きなものをよく食べるらしいとか、その後の活動先を決める参考になりました。

その後、2015年4月にネパールで地震が起こった時に、それまでにすでに東北の被災地でのボランティア活動にたくさん参加していたのでプロジェクトアブロードを通してネパールでも何かお手伝いできないかと探し、その時には時期や期間の都合で被災に対する直接のボランティアは断念しましたが、首都カトマンズ近郊でかねてより希望していた障がい者への教育に関わるボランティア活動等に参加しました。

ホームステイをしながらの活動で、かけがえのない貴重な経験をさせていただきました。そのようなこともあり、最近は年に2回ずつほどフランスに行く用事があってなかなか他の国に行けていなかったのですが、ヨーロッパやアメリカばかりを見て世界を知ったつもりになってはいけないという思いは常にあり、今回ようやく1週間という短い期間ではありますがセネガルでのチャイルドケア活動に参加することを決断して、活動希望時期の3カ月くらい前にプロジェクトアブロードに連絡をして手配をしていただきました。

上記のように障がいのある子どもと関わる活動が第一希望でしたが、それよりもフランス語圏のアフリカでの子どもたちの教育に関わる活動であればそれも貴重な経験だと思ったので、路上で暮らしている子どもたちの保護センターでの活動に申し込みました。

活動先のリストには幼児教育施設での活動も挙がっていたので初めはそちらに申し込むことを希望したのですが、そちらは2週間以上の活動でないと受け入れができないということだったので、それならば仕方がないし、子どもの貧困の問題にも関心が出てきたところだったので、全くがっかりすることなく希望先を変更しました。

また今後もセネガルでの活動に参加したいと思っていますが、次に行く時には、今回初日に場所だけ教えてもらった障がい者の施設にできれば行ってみたいという思いもあるし、2週間以上の時間が取れるのであれば幼児教育施設でのボランティア活動にも参加してみたいようにも思っているし、同じところでまた活動したいという気持ちもあります。

いずれにしても、フランス語圏のアフリカで子どもの教育に関わる活動に参加するという夢が叶ってしまいどうなることかと思っていましたが、またセネガルに来て子どもの教育に関わる活動に再び参加するという次の夢ができました。

ボランティアも生活も充実していたセネガル

プロジェクトの活動内容は、タリベと呼ばれる子どもたち、つまり、宗教的社会的状況や家庭環境を理由として路上で生活している子どもたちのための保護センターで、リーダーである看護師の指示の下に傷の手当のお手伝いをしたり、フランス語や英語の読み書きや折り紙、塗り絵、工作などの活動をしたりすることでした。

1週間のタイムテーブルが決まっていて、月曜から水曜の午前中は、センター内での通常の活動も継続的に行う一方で、ダーラというサンルイ市内に300もあると言われるコーラン学校、つまり、タリベの子どもたちがイスラム教の師匠からコーランを学ぶところを一度に3カ所ずつぐらい、リーダーと3人のボランティアとアウトリーチ活動として、多いときは40人ほどの子どもたちの傷の手当てをしました。

木曜の午後にはサンドイッチなどをボランティアが用意して子どもたちを集めて順番に手を洗わせたうえで配って食べさせるので1週間で最も多く子どもたちが集まったり(200食用意してほぼ完配)、金曜の午後にはボランティアのミーティングを行ってセンターで改善すべき点などについて意見を出し合ったり感想を述べたりしました。

英語の絵本(『はらぺこあおむし』や『コロちゃんはどこ?』、世界地理の絵本や英語のいろんなものの名前を学ぶための本)等を用意していきましたが、小学生ぐらいの年齢の子どもたちは、お話の内容を楽しむというよりも、コロちゃんのような仕掛け絵本の各ページの仕掛けの扉を開けるのが好きなようでした。

また日本の百円ショップで赤ちゃん用の簡単な本を何冊か用意して持っていったのですが、「こんにちは」とか「さよなら」とかの言葉が1ページに1つずつだけウサギなどのイラストと共に出てくるようなシンプルな絵本をフランス語に直しながら見せると、興味を示して自分でも繰り返して同じ言葉を言ってみたりして遊ぶのが楽しいようでした。

生活については、立派なホームステイ先で4人のかわいらしくて働き者の子どもたちと共に快適に過ごさせていただきましたし、食事も毎回おいしくて、セネガル料理を作るところを何度も見せていただいて楽しかったです。

活動先から歩いて通えるところに滞在している人が多かったのですが、私はタクシーで1日2回ずつ往復しました。タクシーでの行き来も楽しかったです。

スキルを手に、これからの人生を

プロジェクトを通じて学んだことはとても多くて大きくて書ききれませんが、フランス語とわずかばかりのウォロフ語で、さらに体当たりの様々な活動で子どもたちと一緒に楽しい時間を共に過ごすことができた喜び、そして、子どもたちから文句も言われたことについての反省、また、リーダーのアミナの懐の深さやフランスや日本、スイス、スウェーデンから来ているそれぞれに魅力的なボランティアの仲間たちとの出会い、その全てからたくさんのことを学びました。

このプロジェクトを通じての成長…、恐らく他のボランティアの皆さんの倍くらいの年齢なので、あまり、成長という言葉がピンときませんが、数年来の夢を叶えて経験値が上がったということでしょうか、またこれからもセネガルに来たいという次の夢を持てて、それがさらなるステップアップ=成長を内包するものであるようにも思っています。

この経験を今後人生にどう活かすか、さっそく、4月からの仕事で大学生たちに今回の写真を見せながら話をしようと思っていますが、ここでの活動の魅力をどれだけ伝えられるかは疑問です。

今後の人生に…、上で何度も書いていますが、またこれからもセネガルで活動する機会を得ていきたいと思えたのは、人生における今後のこまめな目標になっていきます。

アフリカとの出会い、アジアとの出会い、南米との出会い…、私の人生を遡っていくと、それらが自分の歩もうとする方向を決定的なものとしていることに気づきます。

世界市民として、地球市民として、世界のいろんな国の人たちと一緒に喜びや悲しみを分かち合いながら、自分がこれまでに取り組んできた特別支援教育の実践を活かし、まだ十分に使いこなせてはいないけれども大好きなフランス語を使って世界のいろんな人たちとつながっていけること、こんな人生って悪くないよね、とこれからも味わいながら暮らしていきたいと思っています。

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セネガルでチャイルドケア 村上美奈子

この体験談は、主観に基づいて綴られています。

その時の現地の需要や活動の進捗状況、参加時期、参加期間、天候などによって得られる経験が異なりますので、あらかじめご了承ください。

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